2026年4月8日

国庫補助により整備した施設等の財産処分について

国庫補助により取得した財産については、その財産が確実に補助目的に活用されるよう、「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」(以下「適正化法」と言います。)の第22条により、その財産の処分(転用、譲渡、交換や貸付、取壊し等)が制限されています。社会福祉施設等は国庫補助金等を受けて整備されることが多く、したがって、その場合は同条の適用を受けます。このこと自体は補助事業の目的達成のために必要な措置ですが、地域の実情に応じた既存施設の有効活用のために、その措置の柔軟化が検討されています。

適正化法第22条について

適正化法第22条には、「補助事業者等は、補助事業等により取得し、又は効用の増加した政令で定める財産を、各省各庁の長の承認を受けないで、補助金等の交付の目的に反して使用し、譲渡し、交換し、貸し付け、又は担保に供してはならない。ただし、政令で定める場合は、この限りでない。」と規定されており、無承認でこれらを行うと、返還命令(同法第21条)や交付決定取消(同法第17条)の対象になります。

「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方に関するとりまとめ」の指摘

令和7年7月25日に公表された「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方に関するとりまとめ」では、

「現行制度では、社会福祉法人、医療法人等が施設等の財産を有している場合で、取得の際に国庫補助がなされている場合においては、転用・貸付の後に社会福祉事業を行う場合であっても、財産取得から10年未満の転用の場合(補助対象事業を継続した上で一部転用する等の場合を除く。)等には、原則補助金の国庫返納が必要となっている。このような制限の趣旨も踏まえるとともに、柔軟な対応の検討を行っていく必要がある。」

「特に中山間・人口減少地域において不可欠な福祉サービスを維持するために、既存の施設等も有効活用する観点から、地域の実情に応じた施設等の柔軟な活用を可能とするために、不動産の所有に係る要件や転用・貸付・廃止に係る補助金の国庫返納に関する規制について、一定の条件を付した上で緩和する仕組みの検討が必要である。」

と指摘されています。

前段の指摘は、
①地域密着型特別養護老人ホーム(定員29人以下:以下「地域密着型特養」と言います。)の利用者は当該市町村の住民に限定されるが、地域内高齢者人口の減少により利用者の確保が厳しくなっている、
②地域密着型特養では、入浴・排泄・食事などの日常生活行為をユニット内で完結させることが求められているが、利用者の重度化等により機械浴等の必要性が出てきており、併設の定員30人以上の特別養護老人ホ―ム(以下「広域型特養」と言います。)の浴槽を使わざるを得ない等の不都合が起きている、
等に起因しています。

指摘に基づく改正

この指摘を受けて、地域密着型特養の広域型特養への転用など、設置及び開設に係る根拠法は同一であり、当該転用時には関係法令に基づき地方公共団体において策定する計画等を踏まえた必要な判断がなされることから、補助金等の交付の目的に反する使用とは解されず、したがって、適正化法第22条に定める承認は不要である旨が明文化されました(令和7年9月4日付老健局長通知「厚生労働省所管一般会計補助金等に係る財産処分について」)。

なお、後段の指摘に関して、地域のサービス需要の変化に柔軟に対応するため、中山間・人口減少地域に所在する介護施設等を他施設へ転用等を行う際に、一定の範囲内で国庫納付を求めない特例を拡充することも検討されているとのことです。

本ページの掲載内容は当法人が発行する「気まぐれ通信」2026年3月号の内容と同一です。

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