2025年3月31日

2025年4月以降の学校法人における理事会・評議員会の議事録・招集手続の省略について

2025年4月~6月に予定されている理事会・評議員会の議事録の記載及び招集手続省略について解説します。

本記事でご紹介する例示(ひな形)のうち、文部科学省が公表している理事会議事録を除くものは、筆者河本の私見に基づき作成したものであり、法的な正確性・妥当性を保証するものではありません。したがって、ひな形の利用によって何らかの損害が発生した場合でも、当法人は責任を負いかねますことをご承知おきください。

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1.理事会議事録(例)について

文部科学省が公表している理事会議事録の例は以下の通りです。

(1) 理事会の議事録(例)
文部科学省公表資料

(2) 理事会の議事録(例)(理事および監事の全員に対し、理事会に報告すべき事項を通知することで、当該事項の理事会報告を省略した場合)
文部科学省公表資料

なお、(1)の議事録例では出席者に会計監査人が含まれていますが、改正私学法上、会計監査人に理事会への出席義務はありません。そのため、多くの法人では、理事会の出席者に会計監査人を含めないケースが想定されます。


2.定時評議員会議事録(例)

添付資料「定時評議員会議事録例.pdf」

理事会議事録の例は文部科学省より公表されていますが、評議員会議事録の例は示されていません。従来の評議員会と異なり、改正私学法施行規則第22条により、評議員会議事録の記載事項が明確に定められました。実際に活用する際は、法令を確認のうえご対応ください。


3.定時評議員会後に開催する理事会の招集手続省略に係る同意書(例)

添付資料「理事会招集手続省略に係る同意書.pdf」

新理事・新評議員の選任方法は各法人の寄附行為に拠るため様々ですが、2025年4月以降、理事選任機関による新理事候補の選定を経た後、理事会や定時評議員会を開催することとなります。

ただし、定時評議員会終了後には、新たに選任された理事による理事会を開催し、理事長等(理事長の他、定める場合は代表業務執行理事や業務執行理事)を選定することが求められます。新理事が選任される前には招集通知を発送できないため、通常、この理事会の招集手続は評議員会前に、理事(新たに選任される予定者含む)および監事(同)全員の同意を得たうえで、招集手続きを経ることなく開催することとなります(改正私学法44条第1項で準用する一般法94条2項)。

理事会招集手続に関し、理事および監事全員の同意について特段の定めはありませんが、事後的に確認できるよう添付「理事会招集手続省略に係る同意書」のように同意書を作成しておくことが望ましいでしょう。


4.評議員会の招集手続省略に係る同意書(例)

添付資料「評議員会招集手続省略に係る同意書.pdf」

改正私学法により、決算理事会と定時評議員会は原則として同日に開催できません。ただし、令和6年度決算に限り、評議員全員が「定時評議員会の招集手続の省略」に同意した場合には、同日開催が認められます。

【同日開催ができない根拠規定】
(1) 改正私学法第70条第4項⇒定時評議員会の一週間前までに招集通知を発送する必要があります。
(2) 改正私学法第106条第1項⇒定時評議員会の一週間前から計算書類等を備え置く必要があります。

令和6年度決算については、経過措置(附則第4条)により上記(2)の「備置き義務」は適用されませんが、(1)は適用されます。したがって、同日開催するには改正私学法第74条による招集手続省略について全員の同意を得ることが必要です。

一方、令和7年度決算以降は上記(1)(2)がともに適用されるため、招集手続省略の同意が得られたとしても、同日開催は認められません。

【寄附行為との整合性に注意】
寄附行為で「定時評議員会は毎年度6月に開催」と定めている場合、5月に開催することはできません。よって、招集手続省略に同意があっても同日開催は不可となる点にご注意ください。