2025年度(令和7年度)決算から、学校法人において「セグメント情報」の注記が義務化されます。これは、大学・短大・高校・附属病院など、法人内の各部門ごとの収支状況を明確にし、経営資源の配分や成果を可視化する取り組みです。従来は補助金配分を主目的とする会計制度でしたが、法改正により説明責任と情報開示が重視される時代へと大きく舵が切られたと言えるでしょう。
新たな基準では、セグメント区分や共通費用の配分基準を各法人が主体的に設定する必要があり、その設定には合理性と一貫性が求められます。不適切な設定や開示がなされれば、ガバナンスの低下や開示の不備によって法人全体の信頼性が損なわれるおそれがあります。一方、適切に対応すれば、情報開示は経営資源の適切な配分や健全性を示す証となり、学内のコスト意識向上や部門別収支責任の明確化にもつながります。
また、セグメントの設定や注記には一定の経過措置や例外も設けられていますが、制度の完全適用に向けては、計画的かつ段階的な準備が求められます。2029年度(令和9年度)には新たな配分基準の原則適用が始まり、今後の法人運営における説明責任の土台となる制度です。早期に対応を進めることが、経営の安定と信頼確保の鍵となるでしょう。
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