厚生労働省が令和7年度補正予算で実施を決めた「医療・介護等支援パッケージ」(医療分野)に織り込まれている「医療機関等における賃上げ・物価上昇支援事業」は、医療機関等における従事者の処遇改善を支援するとともに物価高騰の影響に対して支援することで、地域に必要な医療提供体制を確保することを目的とした支援事業です。「賃上げ支援(以下「賃金分」)」と「物価支援(以下「物価分」)」の二系統があり、また病院向け(国が実施)と診療所等(都道府県が実施)で仕組みが異なります。病院への給付額は、賃金分は病床1床当たり8.4万円、物価分は1床当たり11.1万円、合計19.5万円です。以下では本事業の病院に対する支援ついて説明します。
対象となる病院と、賃金分について
これらの支援事業の対象となる病院は、健康保険法上の保険医療機関コードが発行されており、令和7年4月1日から本事業の申請時点までに診療報酬請求の実績がある病院です。
賃金分については、令和8年2月1日時点でベースアップ評価料を届け出ている病院で、その給付額は令和7年8月1日時点の使用許可病床数に8.4万円を乗じた額となります。
この給付金を活用して令和7年11月末時点の賃金水準を令和7年12月から令和8年5月まで改善し、この水準を6月以降も維持または拡大することが求められます。また対象期間終了後の令和8年8月1日までに「賃金改善報告書」を提出し、充当額が不足する場合は返還が求められます。
令和8年度中に申請する場合であっても、令和7年12月分から令和8年5月分までの賃金改善を実施する必要があります。
物価分について
この給付金については、原則として全ての病院が対象で、給付金の基礎額は令和7年8月1日時点の使用許可病床数に11.1万円を乗じた額となります。
物価分については、救急車受入件数(精神科救急を含む)、全身麻酔の手術総数、分娩取扱件数の多寡で1施設当たり500万円から最大2億円の加算があります。
物価分の給付金については、使途の報告は不要で、柔軟に使えるため、経営安定化に直結します。ただし賃上げ支援と混同しないことが大切です。
手続き等
病院への支援は、「病院賃上げ支援事業・病院物価支援事業申請システム」を用いて、国が直接行います(外部事業者の阪急交通社を通じて実施)。申請に際しては、以下の情報をご準備ください。
〔病院の基礎情報〕
・令和7年8月1日時点の許可病床数
・令和7年8月2日以降の削減病床数
・三次救急病院指定の有無
・救急車受入件数(令和5年度/令和6年度実績)
・精神科救急受入数(令和5年度/令和6年度実績)
・全身麻酔手術算定日数(令和5年度/令和6年度実績)
・分娩取扱件数(令和5年度/令和6年度実績)
なお、補助金の受領等を法人から施設(病院)に委任する場合は、委任状が必要となります(様式は厚生労働省ポータルサイトに掲載されています)。
令和7年度の通知により既に本事業の給付を受けている場合は再度の給付は受けられませんが、申請を本年度まで繰り越している場合は、5月31日までに申請を行うことで受領が可能です。
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