2026年5月30日

福祉医療機構(WAM)の資本性劣後ローンについて

厚生労働省が令和7年度補正予算で実施を決めた「医療・介護等支援パッケージ」(医療分野)では、福祉医療機構(WAM)による優遇融資等の実施も織り込まれており、具体的には
①福祉医療機構による優遇融資への支援
②福祉医療機構による資本性劣後ローン
の創設とが挙げられています。

「資本性劣後ローン」とは、通常の借入金と異なり貸付者の返済順位が低く設定されており、借入者が経営破綻した場合は、他の債務より後に返済される「劣後性」の性格を有している借入金です。金融機関の信用格付けや自己資本比率の計算上は自己資本に近い性質として評価されるため、財務体質の改善や追加融資を受けやすくする効果があります。このため、借入者としては、負債を増やしながらも財務指標を悪化させることなく大規模な資金調達することが可能となります。

WAMの「資本性劣後ローン」の概要

WAMの「経営資本強化資金(資本性劣後ローン)」は、財務悪化により民間金融機関からの融資が受けにくくなった病院を開設している医療法人に対し、財務体質の改善と経営再建を後押しするために創設された融資制度です。地域で必要な医療機能を担う病院が、債務超過や連続赤字に陥って民間金融機関からの資金調達が困難となった場合に、自己資本とみなせる資金を供給することで、民間金融機関の支援を呼び戻す「橋渡し」的な役割を果たす点が特徴です。

融資対象施設(法人)

融資の対象となるのは、
①医療法人等が開設する救急病院
②社会医療法人が開設する病院
です。救急病院の要件は、都道府県知事の証明が必要で、地域特性(過疎地、病院の有無など)に応じてA〜Cの区分が設けられています。

財務要件

病院(医療法人等にあっては救急病院)の経営状況の悪化により、法人の財務状況が債務超過であって二期連続赤字など業況不芳(ふほう)であること

経営支援等の要件

①支援を行う主な民間金融機関(以下「メインバンク等」と言います。)の支援を受けて、経営改善計画を作成していること
②償還期間中はメインバンク等からの新規融資を含めた支援の継続が確定(内諾を含む)していること
③償還期間中は機構を含むメインバンク等に対して経営改善計画の進捗状況を報告するとともに、メインバンク等からの経営指導を受けることを承諾すること

資金使途と融資条件

資金使途は、
①経営改善に必要な運転資金
②赤字補填資金
③設備資金
です。建築資金及び土地取得資金は本資金の対象となりません。

〔償還期間〕5年1月、10年、15年の期限一括償還
〔利率〕当初3年間は0.2%。4年目以降は業績連動型利率で、税引後当期純利益額が0円以上は基準利率、0円未満は0.2%
〔担保・保証人〕不要
〔限度額〕1法人あたり12億円
〔融資率〕債務超過部分は100%、その他は原則50%

手続き等

融資要件確認後、メインバンク等の意向を確認し、WAMの専用の融資相談票を提出、メインバンク等と協議・作成した経営改善計画書を提出します。

このローンの最大の価値は「自己資本とみなせる資金を外部から調達できる」点にあり、地域で必要な医療機能を提供する病院の財務基盤を安定させるために、民間金融機関・医療法人・WAMの三者が連携して再建スキームを成立させる意義があります。

経営資本強化資金(資本性劣後ローン)のごあんない

本ページの掲載内容は当法人が発行する「気まぐれ通信」2026年5月号の内容と同一です。

当法人では、社会福祉法人を取り巻く経営環境に関するトピックス、経営管理や会計実務に有益な情報・ツールや監査指摘事項の分析のご紹介などをメールマガジンとして配信することとしています。

メールマガジンの配信をご希望の方はこちらからご登録下さい。