2026年6月30日

社会福祉法等の改正について

社会福祉法等の一部改正法案は、2026年6月19日に参議院で可決成立しました。この改正は、人口減少と高齢化が急速に進む中で、地域に必要な福祉サービスを持続的に提供できる体制を整備することを目的としています。特に、2040年に向けて生産年齢人口が大幅に減少し、85歳以上人口が急増するという構造変化を踏まえ、
①地域の実情に応じた包括的支援体制の拡充
②福祉人材の安定的な確保及び定着支援
③支援基盤の強化等
という三つの柱で制度が見直されています。

地域の実情に応じた包括的な支援体制の拡充

今回の改正では、特に小規模自治体や人口減少地域における支援体制の脆弱さが課題として位置づけられています。このような地域では、介護・障害・子ども・生活困窮といった分野ごとに配置基準を満たすことが難しく、相談支援が縦割りになりやすい状況が続いていました。これを改善するために、分野横断的な相談支援や地域づくりを一体的に実施できる新たな事業(小規模市町村地域支援連携協働体制整備事業)が創設されます。これにより、自治体は地域の実情に応じて柔軟に支援体制を構築できるようになります。

また、中山間地域などサービス提供主体が不足する地域では、「特定地域サービス」という新たな介護サービス類型が設けられ、管理者の常勤要件や夜勤要件の緩和、包括的評価(定額報酬)の導入など、運営の柔軟性が高まります。さらに、自治体が介護保険財源を活用して居宅サービスを直接実施できる「特定地域居宅サービス等事業」も創設され、サービス基盤の維持が図られます。

加えて、身寄りのない高齢者が増加している現状を踏まえ、日常生活支援・入院手続支援・死後事務支援を行う事業が第二種社会福祉事業として制度化されます。判断能力が不十分な方の権利擁護を支えるため、地域権利擁護相談支援センターの設置も可能となり、成年後見制度との連携強化が期待されます。

福祉人材の安定的な確保及び定着支援

福祉人材不足は全国的な課題であり、今回の改正では、都道府県に人材確保協議会の設置を努力義務化し、介護分野では生産性向上等の協議会設置が義務化されます。国と自治体の責務として、生産性向上や経営改善支援が明確化され、テクノロジー導入や業務効率化が後押しされます。

資格制度の見直しも重要です。介護福祉士養成施設卒業者に対する経過措置は、卒業後5年間の資格付与を令和13(2031)年度卒業者まで延長する一方、5年従事による資格継続措置は予定通り終了します。また、暫定的資格であった准介護福祉士は廃止されます。

ケアマネジャーについては、更新制が廃止され、資格更新のための研修受講義務がなくなります。ただし、専門性維持のための定期研修は引き続き求められ、分割受講やオンライン化など負担軽減策が導入されます。事業者にも研修受講を支援する義務が課されます。

支援基盤の強化等

社会福祉連携推進法人制度の拡充も大きな改正点です。これまで法人自体が社会福祉事業を実施することはできませんでしたが、第二種社会福祉事業の実施が可能となり、地域のニーズに応じた柔軟な事業展開が可能になります。また、法人間で土地・建物の貸付支援を行えるようになり、施設の有効活用が促進されます。

災害対応では、能登半島地震の教訓を踏まえ、災害派遣福祉チーム(DWAT)の登録・研修が国の責務として法制化されます。地域福祉計画にも「防災」が必須項目として追加され、福祉と防災の連携が制度的に位置づけられます。

本ページの掲載内容は当法人が発行する「気まぐれ通信」2026年6月号の内容と同一です。

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