2026年8月29日

令和6年度 社会保障費用統計について令和6年度 社会保障費用統計について

国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が公表した「令和6年度 社会保障費用統計」によれば、年金や医療、介護などへの支出から利用者の自己負担分を引いた「社会保障給付費(ILO基準)」が、2024年度は138兆3,019億円でした。新型コロナウイルス感染症(以下「コロナ」と言います。)禍の影響があった2021年度の138兆7,544億円に次ぐ過去2番⽬の⾼⽔準となりました。2023年度からは2.0%の増で、3年ぶりに給付費が増えました。一方、対GDP比は21.53%で、前年度に比べて0.37%ポイント減少しました。

給付費の部門別内訳

給付費の部門別内訳を見ると、「医療」は44兆8,055億円(総額に占める割合は32.4%)、「年⾦」は57兆8,528億円(同41.8%)、「福祉その他」は35兆6,436億円(同25.8%)でそのうち「介護対策」は12兆63億円(同8.7%)でした。前年度と比べると、「医療」は8,726億円(1.9%)減少したのに対し、「年⾦」は1兆4,592億円(2.6%)増加、「福祉その他」は2兆836億円(6.2%)増加、そのうち「介護対策」も3,762億円(3.2%)増加しました。

前年度からの増減要因

「医療」が2年連続で減少した要因としては、医療に分類される主なコロナ対策費⽤が1兆6,440億円程度減少した影響が⼤きく、それを除外した通常の医療分は7,714億円、率にして1.8%程度の増加でした。2024年度は年金制度の見直しがあり、改定割合の基礎とされた名目手取り賃金変動率の3.1%からマクロ経済スライド分0.4%を差し引いた2.7%が年金の改定率となりました。この引き上げが、「年金」が増加した主な要因と言えます。「福祉その他」のうち「介護」では、この年度の介護報酬改定が全体でプラス1.59%となったことと利用者数の増加により3.2%の増加になったと考えられます。2024年度は障害福祉サービス等報酬も全体で1.12%の引上げもありました。厚生労働省の資料では、2023年度の約3.73兆円から2024年度には約4.18兆円へと12.1%も急伸したと説明しています。児童⼿当の所得制限撤廃などの⾒直しなどが⾏われたことも、増加の要因と言われています。

社会保障費用統計に含まれるコロナ対策に係る費用は、2021年度をピークとして減少してきていますが、その中で「緊急小口資金等特例貸付事業」の償還免除分だけは前年度よりも3,630億円増加して4,933億円となりました。この貸付事業は、コロナの影響で収入が減少し生活資金の手当てが必要となった方に対して2020年3月から実施され、2023年1月から貸付金の償還が始まっています。貸付金ですので資金を交付した段階では費用計上はされませんが、償還を免除した時にその免除額が社会保障費用統計に計上されます。

予算編成時試算額との比較

2024年度の予算編成時に厚生労働省では、社会保障給付費の総額を137.8兆円(対GDP比22.4%)と推計していましたが、実績のほうが5千億円ほど上回りました。推計額の部門別内訳は、「年金」が61.7兆円、「医療」が42.8兆円、「福祉その他」が33.4兆円で、うち介護13.9兆円、「こども・子育て」は10.8兆円でした。「年金」は4兆円近く下回ったものの、「医療」と「福祉その他」がそれぞれ2兆円程度上回っています。

ちなみに、2025年度の予算編成時には社会保障給付費は140.7兆円、2026年度では144.1兆円と、最高額を更新すると推計されています。なお財源としては、給付費の過半は社会保険料で賄われますが、残りは国の一般会計予算の「社会保障関係費」(2026年度予算では38.9兆円)や地方公共団体負担等から支出されます。

本ページの掲載内容は当法人が発行する「気まぐれ通信」2026年8月号の内容と同一です。

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