2024年1月5日

令和6年度の診療報酬、介護報酬及び障害福祉サービス等報酬改定の改定率等について

令和5年12月20日の予算大臣折衝を踏まえ、厚生労働省は、令和6年度の診療報酬改定、介護報酬改定及び障害福祉サービス等報酬改定の改定率等を公表しました。

診療報酬改定について

診療報酬改定では、本体部分をプラス0.88%(2024年度国費800億円程度)とし、薬価をマイナス0.97%(同1200億円程度)、材料価格をマイナス0.02%(同20億円程度)で薬価・材料価格を合わせてマイナス1.0%(四捨五入の関係で合計は合いません)となります。本体部分の引き上げは9回連続で、過去10年では最も高い水準です。診療報酬本体と薬価等の改定率を足し引きしたいわゆる「ネット」の率は発表していませんが、本体部分と薬価、材料価格を単純に足し引きするとマイナス0.12%となります。

今回の改定率では「40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・薬局勤務薬剤師、事務職員、歯科技工所等で従事する者の賃上げに資する措置分」として0.28%程度、「看護職員、病院薬剤師その他の医療関係職種について2024年度にベア2.5%、2025年度にベア2.0%を実施するための特例的な対応」の財源として0.61%と、用途を賃上げに絞った数字が盛り込まれました。

制度改革としては、「医療DXの推進による医療情報の有効活用等」と「調剤基本料等の適正化」が明記され、また、改定がベースアップに確実につながるように先述の改定率の配分方法を「工夫」すること、今回の改定による賃上げ状況、食費を含む物価動向、経営状況等について実態を把握することも盛り込まれました。

介護報酬改定について

介護報酬の改定率は、プラス1.59%の引き上げとなります。診療報酬の本体改定率を上回り、前回(2021年)改定の0.70%、前々回(2018年)改定の0.54%と比較しても高い水準と言えます。

1.59%のうち0.98%を令和6年6月から実施する介護職員の処遇改善分とし、残りの0.61%がその他の改定率です。なお令和6年2月から5月までの介護職員の賃上げは、介護報酬ではなく補正予算により対応する予定とのことです。

また、詳細については不明ですが、「改定率の外枠として、処遇改善加算の一本化による賃上げ効果や、光熱水費の基準費用額の増額による介護施設の増収効果としてプラス0.45%相当の改定が見込まれ、合計するとプラス2.04%相当の改定となる」とされています。

障害福祉サービス等報酬改定について

障害福祉サービス等報酬の改定率はプラス1.12%の引き上げで、こちらも診療報酬の本体改定率を上回り、前回(2021年)改定の0.56%、前々回(2018年)改定の0.47%よりも高い水準です。

障害福祉サービス等報酬についても、「改定率の外枠で処遇改善加算の一本化の効果等があり、それを合わせれば改定率はプラス1.5%を上回る水準となる」とされています。

まとめ

原則として、診療報酬は2年ごと、介護報酬及び障害福祉サービス等報酬は3年ごとに改定されるため、令和6年度は6年に1度のトリプル改定となり、かついわゆる「団塊の世代」が全員後期高齢者となる年度でもあることから、わが国の社会保障制度の方向性を決定する改定として注目されてきました。新型コロナウイルス感染症の流行による利用状況の変化やその後の物価高騰、並びに今後更なる増員が必要とされる介護職員等の人材確保などへの対応が優先された改定と考えられます。各サービスの報酬は令和6年年2月に公表される予定です。

本ページの掲載内容は当法人が発行する「気まぐれ通信」2023年12月号の内容と同一です。