2024年4月24日

高齢者の住宅と生活環境に関する調査について

内閣府では、「高齢社会対策大綱」(平成30年2月閣議決定)に基づいて、高齢社会についての各種施策の推進に関する総合調整を行っており、その施策の推進に資するために「高齢社会に関する調査」を、毎年テーマを定めて実施しています。令和5(2023)年度においては、「高齢者の住宅と生活環境に関する調査」として10月から11月に実施し、今般その結果を公表しました。この調査は、施設入所者を除く65歳以上(10月1日時点)の男女合わせて 4,000人を対象として実施されました。調査項目は多岐にわたりますが、その中からいくつか選択してご紹介します。

健康状態

現在の健康状態をみると、全体で「普通」が41.6%で最も高くなっています。報告書では、「良い」(14.2%)と「まあ良い」(18.3%)を合わせた32.5%を、現在の健康状態が「良い(再掲)」と整理していますが、「普通」の回答は「悪くない」とも考えられます。

同居者でみると、親(配偶者の親を含む)と同居している者は「良い(再掲)」(41.4%)が高く、また収入がある仕事の有無でみると、仕事をしている者は「良い(再掲)」(44.9%)が高い結果となりました。ただし「親(配偶者の親を含む)と同居している者」や「仕事をしている者」は、高齢者といっても比較的年齢の低い層と言えますから、「若いほうが全般的に健康である」と結論しているとも感じられます。

現在の地域で不便や気になること

現在の地域で、不便や気になることはあるか(複数回答)をみると、全体で「日常の買い物に不便」が23.9%で最も高く、次いで「医院や病院への通院に不便」が23.8%、「交通機関が高齢者には使いにくい、または整備されていない」が21.5%と続きます。「特にない」は39.3%でした。

5年前の平成30(2018)年度にも「高齢者の住宅と生活環境に関する調査」が実施されており、その時にも同じ設問がありましたが、その時は「日常の買い物に不便」が15.9%、「医院や病院への通院に不便」と「交通機関が高齢者には使いにくい、または整備されていない」がともに14.1%でした。また「特にない」は58.7%でした。単純に比較すると不便や気になることが増えており、特に「医院や病院への通院に不便」が9.7ポイント、「日常の買い物に不便」が8.0ポイント、「交通機関が高齢者には使いにくい、または整備されていない」が7.4ポイント上昇しています。ただし前回の調査対象は60歳以上で、今回の調査の方が回答者の年齢構成が高くなっていることに注意が必要です。

完治が見込めない病気の場合に迎えたい最期の場所

完治が見込めない病気になった場合に最期を迎える場所の希望は、全体では「自宅」の45.8%が最も高く、次いで「病院・介護療養型医療施設」が36.3%、「特別養護老人ホーム・有料老人ホームなどの福祉施設」が8.3%と続きます。性別でみると、男性は「自宅」が52.2%で、女性の40.1%よりも高く、女性は「病院・介護療養型医療施設」が40.6%で、男性の31.6%よりも高くなっています。女性では年代が高くなるほど「自宅」が高くなり、年代が低くなるほど「病院・介護療養型医療施設」が高くなる傾向にあります。

この設問も平成30年度調査にもありますが、その時は「自宅」が51.0%、「病院・介護療養型医療施設」が31.4%、「特別養護老人ホーム・有料老人ホームなどの福祉施設」が7.5%でした。性別でみると、「自宅」は男性が59.2%で女性が43.8%、「病院・介護療養型医療施設」は男性が31.6%で女性は40.6%でした。「自宅」の割合が減り、医療施設や介護・福祉施設が高めになってきています。

本ページの掲載内容は当法人が発行する「気まぐれ通信」2024年4月号の内容と同一です。