平成28年度の社会福祉法の改正により、平成29年4月1日前に設立された社会福祉法人は、同日までに評議員を選任し (社会福祉法附則第9条第1項)、その選任は平成29年4月1日から効力を生じました(同条第2項)。また厚生労働省の4部局長連名通知である「社会福祉法人の認可について(通知)」別紙2の「社会福祉法人定款例(以下「定款例」と言います。)※」第7条第1項では、「評議員の任期は、選任後4年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までとし、再任を妨げない」と規定しています。
※厚生労働省「社会福祉法人制度改革について」参照
これらにより、その間に異動がなかった評議員の最初の任期は令和2事業年度の定時評議員会終了時すなわち令和3年6月の定時評議員会まででした。その際に任命された評議員や退任評議員の補欠として選任された評議員の多くは、本年6月に改選されることとなります。定款例第6条には評議員の選任及び解任の規定があり、その第1項に「この法人に評議員選任・解任委員会を置き、評議員の選任及び解任は、評議員選任・解任委員会において行う。」と定められています。
今回は評議員の改選自体ではなく、評議員選任・解任委員(以下「選任・解任委員」と言います。)について、おさらいを兼ねて説明します。
選任・解任委員の任期について
全国社会福祉法人経営者協議会(以下「全国経営協」と言います。)が作成した「全国経営協モデル定款細則(2017.01.31版)」 (以下「モデル定款細則」と言います。)第4条第1項では、「委員会の評議員選任・解任委員(以下「委員」という。)は、監事●名、職員●名、外部委員●名の合計●名とし、理事会が選任する」としています。また第5条第1項では、「委員の任期は、選任後4年以内に終了する会計年度のうち、最終のものに関する定時評議員会の終結の時までとする。ただし、再任を妨げない」と定めています。
前回の選任が令和3年4月1日以降であればその任期は本年6月の定時評議員会までありますので、今回の評議員の選任・解任は現行の委員で行い、評議員会後に向けた選任・解任委員の改選をすれば足ります。これに対して、前回の選任が令和3年3月31日以前であれば、昨年6月の定時評議員会で任期が満了していますので、早急に選任して次期評議員の選任手続きを行うことが必要です。
なお、モデル定款細則では4年の任期としていますが、その解説では「理事や評議員の任期を参考に委員の任期を定め」るとしており、任期は各法人で定められます。実際、委員に監事が就任することから、監事の任期である2年としている例も有ります。いずれにしても、現在の選任・解任委員の任期を確認し、有効な選任・解任委員会を開催することが必要です。
選任・解任委員の報酬等について
モデル定款細則の第7条では、第1項で「委員には、その地位のみに基づいては、報酬を支給しない」と規定したうえで、第2項で「委員の報酬額は、理事会の決議を経て理事長が定める」としています。また第3項では「その職務を行うために要する費用を弁償することができる」とも規定していますが、その際の支給基準についても「理事会の決議を経て理事長が定める」としています。一般的には監事の時給等に準じて支払われているようですが、支給に際しては理事会の決議を経た独自の支給基準が必要です。
役員や評議員の任期や報酬等については法定事項でもあり注意が払われますが、選任・解任委員については任期や報酬等が疎かになりがちです。この機会に改めて自法人の規程や運営方法について確認し、必要に応じて見直しを行っては如何でしょうか。
本ページの掲載内容は当法人が発行する「気まぐれ通信」2025年5月号の内容と同一です。
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