2025年4月30日

2040年に向けたサービス提供体制の検討について

わが国の総人口は、平成20(2008)年の1億2,808万人をピークとして、平成23(2011)年以降は一貫して減少している一方で、2040年には、65歳以上の高齢者数がピークを迎えるとともに、介護と医療の複合ニーズを抱える85歳以上人口が増加します。しかしこれらの高齢化や人口減少のスピード、さらには福祉・介護サービス等の需要やその変化にも地域によって大きな差があります。それらを踏まえつつ、予防・健康づくり、人材確保・定着、デジタル活用等を通じて、地域包括ケアを維持した上で、地域別のサービス提供モデルや支援体制を構築することを目的として、厚生労働省は本年1月に「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会を立ち上げ、4月10日にその中間とりまとめを公表しました。

基本的な考え方と方向性

この中間とりまとめは、
①「地域包括ケアシステム」を2040年に向け深化
②地域軸・時間軸を踏まえたサービス提供体制確保
③介護人材確保と職場環境改善・生産性向上、経営支援
④地域の共通課題と地方創生
を基本的な考え方としています。

また、日本全国を
①中山間・人口減少地域
②大都市
③一般市等
の3つの地域の類型に区分して、それぞれの類型に沿う介護サービス提供体制の確保を提言しています。

○中山間・人口減少地域における対応
中山間・人口減少地域における対応としては、配置基準等の弾力化や包括的な評価の仕組み、訪問・通所などサービス間の連携・柔軟化、および市町村事業によるサービス提供等、地域のニーズに応じた柔軟な対応を検討することとしています。また地域の介護を支えるサービス主体への支援体制や新規参入の仕組みづくり、社会福祉連携推進法人制度の活用などが挙げられています。

○大都市部における対応
大都市部における対応としては、重度の要介護者や独居高齢者等に対するICT技術等を用いた24時間対応・包括的在宅サービスの検討など、需要の急増を踏まえたサービス基盤整備などが挙げられています。

○一般市等における対応
一般市等における対応としては、既存の介護資源等を有効活用するとともに、将来の需要減少に備えた準備と対応をするなど、サービスを過不足なく確保することが挙げられています。

人材確保・生産性向上・経営支援等

介護サービス提供体制確保の大前提として「介護人材の確保」が極めて重要な課題であることは言うまでもありません。地域における人材確保のプラットフォーム機能の充実等やテクノロジーの導入、タスクシフト/シェアによる生産性の向上を求めるとともに、都道府県単位で雇用管理・生産性向上など経営支援の体制を構築し、また大規模化によるメリットを示しつつ、介護事業者の協働化・連携(間接業務効率化)を推進すること等が提言されています。

地域包括ケアシステム、医療介護連携等

2040年に向けて85歳以上の人口が増加し、医療と介護の複合ニーズを抱える者が急増する中、地域包括ケアシステムにおいて適切な医療・介護サービスを受けられる受け皿を確保するとともに、急変があった際に必要な通院、入院等ができるよう、医療・介護の連携を強化することが提言されています。
今次の中間取りまとめは高齢者施策を中心としたものですが、今後、他の福祉サービスも含めた共通の課題について検討し、夏を目途に最終的なとりまとめが行われる予定です。

本ページの掲載内容は当法人が発行する「気まぐれ通信」2025年4月号の内容と同一です。

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