介護保険法第115条の44の2で、都道府県知事は「介護サービス事業者経営情報(以下「介護経営情報」と言います。)」について調査及び分析を行い、その内容を公表するよう努めることとされ、また介護サービス事業者は介護経営情報について、当該事業所又は施設の所在地を管轄する都道府県知事に報告すること等とされており、令和6年4月1日より施行されています。これを実現するために厚生労働省は介護経営情報のデータベースシステムを構築し、本年1月からその運用が開始されました。
報告の期限
締切り期限は、
(1) 初年度報告(2024年度報告)
①2024年3月31日から2024年12月31日までに会計年度が終了する場合:2025年3月末まで
②2025年1月1日から2025年3月31日までに会計年度が終了する場合 :会計年度の終了後3月以内
(2) 次年度以降:会計年度の終了後3月以内
とされています。
社会福祉法人の場合、会計年度は4月1日から翌年3月31日までですから、2024年3月31日に令和5年度の会計年度が終了しています。そのため、(1)①により令和5年度の情報を3月末までに、(2)により6月末までに令和6年度の情報を報告する必要があります。
報告の単位と報告事項
介護経営情報の報告は、原則として介護サービス事業所・施設単位で行いますが、事業所・施設ごとの会計区分を行っていない場合などのやむを得ない場合については、法人単位で報告することとしても差し支えありません。
報告事項としては、
①事業所又は施設の名称、所在地その他の基本情報
②事業所又は施設の収益及び費用の内容
③事業所又は施設の職員の職種別人数その他の人員に関する事項
④その他必要な事項(複数の介護サービス事業や介護サービス事業以外の事業の有無など)
があります。
報告の手続き
手続きとしては、先ず報告の全体像を把握したうえで、報告に必要な「GビズID」のアカウントを取得します。必要に応じて、適宜「GビズIDメンバー」を作成することができます。
次に、損益計算書等のデータを登録します。登録方法としては、
①会計ソフトから出力されたファイルの取り込み
②画面からシステム上への直接入力
があります。複数の損益計算書等データの登録を行う場合、全て①で登録するか、全て②で登録するかのいずれかの入力になります。①で登録したデータは任意項目以外の編集を行えないため、修正する場合は一旦すべて削除し、再度データの登録を行う必要があります。その後、届出対象事業所データ登録と事業所連絡先登録を行います。
さらに「追加情報登録」として、損益計算書等データに介護以外の事業(医療、障害等)が含まれている場合にはその事業に係る情報を入力します。次いで、各事業所の職種別人数・給与等を入力します。常勤換算数の入力は義務(必須項目)であり、該当する職種が存在しない場合は「0」を入力します。「給料、賞与」または「給与」の入力は任意です。
以上、介護経営情報の報告について概略をご説明しましたが、詳細は厚生労働省の下記サイトをご確認ください。
◎介護サービス事業者経営情報データベースシステム
https://www.mhlw.go.jp/stf/tyousa-bunseki.html
本ページの掲載内容は当法人が発行する「気まぐれ通信」2025年2月号の内容と同一です。
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