社会福祉法人は事業年度終了後WAMNET上の「財務諸表等電子開示システム」に現況報告書や計算書類(決算書)等を入力、公開しています。今般このシステムに、社会福祉法人が自身の分析用スコアカードをダウンロードできる機能が追加されたのでお知らせします。
スコアカードの構成
スコアカードの内容は以下の通りです。
主要6指標:①経常増減差額率、②流動比率、③固定長期適合率、④借入金償還余裕率、⑤事業活動資金収支差額率、⑥正味金融資産額・減価償却累計額比率(参考指標)
収益性:①サービス活動増減差額率、②職員一人あたりサービス活動収益、③経常収益対経常増減差額
安定性・持続性:①当座比率、②現金預金対事業活動支出比率、③純資産比率、④純資産比率(正味)、⑤固定比率、⑥借入金比率、⑦借入金償還余裕率(正味)、⑧債務償還年数、⑨事業未収金回転期間、⑩事業未払金回転期間、⑪総資産回転率
合理性:①人件費比率、②人件費・委託費比率、③事業費比率、④事務費比率、⑤支払利息率、⑥付加価値率、⑦減価償却費比率、⑧国庫補助金等特別積立金取崩額比率、⑨固定資産老朽化率、⑩正味金融資産額
効率性:①労働生産性、②労働分配率、③総資産経常増減差額率、④事業用固定資産回転率
経営独立性:自己収益比率
以上の合計35指標について、自法人、事業分野平均(国、都道府県)、収益規模平均(国、都道府県)の直近3か年の数値が算出され、その推移の折れ線グラフ等が表示されます。主要6指標についてはレーダーチャートも表示されています。35指標のうち20指標は参考指標として詳細がエクセルシート上で折りたたまれていますが、折りたたみを解除(「+」をクリック)して見ることが出来ます。
スコアカード内の各指標の解説等
35指標のそれぞれについて、スコアカードのシート上に、「計算式」、「指標の解説」、「判定値」、「判定値の解説」が記されていることも、今回の特徴の一つです(計算式以外の説明は表示されていない部分もあります)。多くの経営指標の算出ツールでは、その計算式や指標の解説は別頁になっていることが多い中で、計算結果と解説が並べて見られることは、より理解しやすい工夫と言えるでしょう。今後、AI等を活用して、個々の法人の経営指標の長所や課題が表示されることを期待します。
スコアカードのダウンロード
スコアカードを各法人でダウンロードするには、WAMNET上の「社会福祉法人の財務諸表等電子開示システム」のサイトの《システムを利用する社会福祉法人専用》の「システムログイン」をクリックし、IDとパスワードでログインします。「財務諸表等入力メニュー」の一番右側の「分析」タブをクリック、「スコアカードの入手」で年度を選択すると、自法人の分析用スコアカードがエクセルシートでダウンロードできます。
なお、スコアカードは自法人が登録を終了した段階で登録年度のスコアカードがダウンロードできるようですが、その年度の国・都道府県の平均値やそのグラフの表示は、「全法人集計後取りまとめ版」のみで、「即時提供版」では表示されないことに注意が必要です。
理事会や評議員会等の資料として配布して、経営状況について共通の理解を持ち、経営判断や改善に役立てることも可能です。また現在は3か年の推移のみですが、毎年ダウンロードすることによってより長期の推移を把握し、それぞれの年度での要因分析を行って記録に残すことも、貴重な資料になると考えます。
本ページの掲載内容は当法人が発行する「気まぐれ通信」2025年10月号の内容と同一です。
当法人では、社会福祉法人を取り巻く経営環境に関するトピックス、監査指摘事項の分析、経営管理や会計実務に有益な情報・ツールのご紹介などをメールマガジンとして配信することとしています。
