2024年3月25日

社会福祉法人制度等の福祉基盤課説明について

令和5年度の社会・援護局関係主管課長会議資料説明動画が3月18日に公開されました。社会福祉法人制度を所掌している同局福祉基盤課の重点事項としては、①社会福祉法人制度等、②令和6年能登半島地震関連として災害福祉支援ネットワーク・災害派遣福祉チーム(DWAT)や社会福祉施設等の被災状況の把握、③福祉サービス第三者評価事業等、④独立行政法人福祉医療機構における優遇融資が挙げられています。今回はその中から社会福祉法人等に関する記述を中心にご説明します。

説明の概要

先ず、社会福祉法人が公益性・非営利性の高い法人であり税を含む各般の優遇措置が設けられていることから、経営組織のガバナンスの確保や事業運営の透明性の向上等の取組を通じて国民に対する説明責任を果たすとともに地域社会に貢献していくことが求められている点を強調しました。その上で、①複数の社会福祉法人等が参画するネットワークを構築して地域貢献事業を試行するための補助を行う「小規模法人のネットワーク化による協働推進事業」について、令和6年度予算案に計上したこと、②経営の大規模・協働化に資する社会福祉連携推進法人の設立を一層促進するため、社会福祉連携推進法人の設立に向けた準備及び設立後における社会福祉連携推進業務の企画立案・実施の支援に対する補助を行う「社会福祉法人の生産性向上に対する支援事業」について令和5年度補正予算に計上したことを説明、これらの施策を活用して法人の希望に応じた連携の支援を所轄庁の担当部局に要請しています。

不適正事案の報道

また制度上そもそも存在しない社会福祉法人の「経営権」を売買して多額の法人資産を不適切に流出させた事例や、理事を変更する見返りに金銭の授受があったとして贈収賄の疑いで逮捕された事例、理事長らが法人の資金を横領したとして業務上横領の疑いで逮捕された事例など、不適正事案発生(又は疑い)の報道についても触れ、これらを把握する方策として、①形式チェックに止まらない現況報告書等による運営実態の把握や、②指導監査や計算書類等の確認に「会計専門家(公認会計士・税理士)」を活用する体制整備の重要性等を説明しています。なお令和5年度において会計専門家を指導監査や計算書類等の確認に活用している所轄庁は280、活用していない所轄庁は500(n=780。福祉基盤課調べ)でした。

財務諸表等電子開示システム

社会福祉法人の財務諸表等電子開示システム」については、運用開始から5年以上経過しましたが、計算書類等の届出については本年も昨年同様9月末を期限とすることを予定していることから、各法人の法定の届出期限(6月末)の遵守及び所轄庁の円滑な確認が行えるよう、適切な指導及び進捗管理を依頼しています。また社会福祉法第59条の2第2項において、「都道府県知事は、当該都道府県の区域内に主たる事務所を有する社会福祉法人(厚生労働大臣が所轄庁であるものを除く。)の活動の状況その他の厚生労働省令で定める事項について、調査及び分析を行い、必要な統計その他の資料を作成するものとする」とされており、現に個別の法人の監査時の参考データとして活用している所轄庁も多くある(245/736所轄庁。令和5年度福祉基盤課調べ)とし、本データの積極的な活用も要請しています。また本システムの分析機能について、法人の一層の運営の透明性の向上を図るための改修を行い、令和5年度決算分からは管内法人の経営悪化の状況等を指導監査に拠らずに即時に捉えることが可能となる予定である旨も説明されています。

本ページの掲載内容は当法人が発行する「気まぐれ通信」2024年3月号の内容と同一です。