平成29年3月29日付4課長連名通知「社会福祉法人における入札契約等の取扱いについて」(以下「現行通知」と言います。)の改正通知が本年度末に発出され、令和8年4月1日から施行される予定です。
制度の変遷
現行通知は、サービス活動収益30億円以上等の社会福祉法人には会計監査人が必置とされた平成29年度から施行されました。その中には、法人運営の一層の明確化を図るため、随意契約及び競争契約についての基準が示されています。
随意契約によることができる場合の金額の上限額は、
「会計監査を受けない法人」:一律1,000万円
「会計監査を受ける法人」:建築工事が20億円、建築技術・サービスが2億円、物品等が3,000万円
を上限に法人の実態に応じて設定した額とされています。この場合には、3社以上の業者から見積もりを徴し比較する(以下「見積り合わせ」と言います。)など、適正な価格を客観的に判断することが求められます。ただし、工事又は製造の請負は250万円以下、食料品・物品等の買入れは160万円以下、上記に掲げるもの以外は100万円以下の場合は、2社以上の見積り合わせで足ります。
現行通知以前の取扱いは、平成12年2月17日付厚生省5課長連名の同名の通知(以下「旧通知」と言います。)に定められていましたが、そこには、随意契約によることができる場合の金額の上限額として、現行通知で2社以上の見積り合わせで足りるとされている上記金額が定められていました。
予算決算及び会計令との関連
「予算決算及び会計令」(昭和22年勅令第165号。以下「予決令」と言います。)第99条では、随意契約ができる場合の上限額が定められており、旧通知の上限額も予決令に倣った内容でしたが、現行通知の制定により、随意契約ができる上限額とは、直接の関連は無くなりました。
予決令第99条が定める少額随意契約の上限額は戦後のインフレに対応して引き上げられ、昭和49(1974)年の予決令改正によって直近の金額となりましたが、以後50年余にわたり見直しが据え置かれてきました。この上限額の見直しは主として企業物価指数の動向を踏まえて行われてきましたが、同指数は1980年代初頭をピークとして、その後下落ないし横ばい傾向が長らく続いてきたことが長期据え置きの原因だと考えられます。しかし昨今の物価高騰から、同指数は1974年と比較すると約1.6倍に増加したため、予決令は令和7年4月1日付で改正されました。
現行通知の改正内容
社会福祉法人についても昨今の物価高騰等を踏まえ、現行通知で予決令を引用している2社以上の見積り合わせで足りるとされる金額が令和8年4月1日付で以下のとおり改正される予定です。
| 現行 | 改正後 | |
| 工事又は製造の請負額 | 250万円 | 400万円 |
| 食料品、物品等の買入れ | 160万円 | 300万円 |
| 上記に掲げるもの以外 | 100万円 | 200万円 |
また、「小規模社会福祉法人向け経理規程例」についても、同様の箇所が改正予定であるとのことです。
経理規程の確認と改正準備
今次改正の内容は「社会福祉法人モデル経理規程」にも盛り込まれている内容ですので、ほとんどの社会福祉法人で経理規程の改正が必要になると考えます。先ず自法人の経理規程をはじめ契約や権限等に関する規程やマニュアル等を確認のうえ、理事会への付議その他必要な手続きの準備をしてください。
規程の改訂漏れは予備調査における指摘事項でも多く検出される事項です。
本ページの掲載内容は当法人が発行する「気まぐれ通信」2026年1月号の内容と同一です。
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