2026年3月3日

社会福祉充実残額に関する解説【第1部】

社会福祉充実残額制度とは

社会福祉充実残額制度は社会福祉法改正の中で創設された仕組みであり、「社会福祉法等の一部を改正する法律(平成28年法律第21号)による改正後の社会福祉法(昭和26年法律第45号)第55条の2の規定に基づき、平成29年4月1日以降、社会福祉法人は、毎会計年度、その保有する財産について、事業継続に必要な財産を控除した上、再投下可能な財産(以下「社会福祉充実残額」という。)を算定しなければならないこととされている。さらに、その結果、社会福祉充実残額が生じる場合には、社会福祉法人は、社会福祉充実計画を策定し、これに従って、地域の福祉ニーズ等を踏まえつつ、当該残額を計画的かつ有効に再投下していく必要がある。」(平成29年1月24日厚生労働省社会・援護局長等通知)とされています。

制度の背景には、社会福祉法人の内部留保に対する外部からの指摘がありました。一方で、施設更新や大規模修繕、設備再取得のために一定の資金が必要であることは、社会福祉法人の経営に携わる方であれば当然の前提でもあります。そうした経緯のもとで設計されたのが、現在の社会福祉充実残額制度です。本動画(第1部)では、制度に基づく計算構造を整理しています。

社会福祉充実残額の計算構造

社会福祉充実残額の算定は、概ね次の流れで行われます。
1)財産目録ベースで資産・負債を確定
2)控除対象財産を整理
3)将来必要資金を算定
4)その結果として充実残額を算出

単純な「余剰資金の把握」ではなく、控除の積み上げによって結果が決まる構造になっています。動画では、このロジックを「社会福祉充実残額算定シート」との対応関係を示しながら解説しています。

本動画で扱う主な論点と実務上の意義

本動画では、主に以下の論点を解説しています。
・控除対象財産の範囲
・再取得資金の算定方法
・減価償却累計額との関係
・大規模修繕実績の扱い
・運転資金(原則・特例)の区分
・計算パターンの全体像

実務上、適切に将来更新資金等を算定すると、結果として充実残額が生じない法人が大半です。これは制度上も想定されている結果だと考えられます。重要なのは「黒字にする」「赤字にする」という議論ではなく、制度に沿った計算を行い、説明可能な状態にしておくことです。充実残額は、
・決算確定後の算定
・所轄庁への届出
・必要に応じた計画策定
という実務フローに組み込まれています。

そのため、
・固定資産台帳との整合
・将来更新計画との関係
・数値の根拠資料
・監査時の説明対応
といった点を理解しておくことが重要になります。

本動画は、社会福祉法人の会計・監査に携わる会計専門家、監査担当者向け研修会を収録したものですが、社会福祉法人の理事や実務担当者にとって制度理解の一助となる内容であることを踏まえ公開するものです。
第1部は、基本的な計算構造の解説となっています。第2部は会員(当法人の監査先・会計顧問先)に限定して「社会福祉充実残額算定シート」を用いた13通りの計算結果を具体的に示し、計算方法の選択がどれだけの違いをもたらすか、その違いをどう判断すべきかを解説しています。